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トピックス

(株)ANETが提供した防災コンサルティングサービスのうち、主な事例をトピックスとして紹介します。

津波被害予測手法に関する技術動向調査

実施期間:平成23年8月〜平成24年3月

弊社の調査事業の一環として、「津波被害予測手法に関する技術動向調査」を受注しました。
津波の発生、伝搬および遡上のメカニズムやシミュレーション技術等に関する研究・開発の変遷および現状について、主に文献調査を実施し報告書にまとめました。 以下にその一部を紹介します。

『津波研究の最終目的は、現象の理解ではない。それによって生ずる生命・財産への被害を防止することである』(首藤(2002))。自然被害を防止するにはその現象を適切に理解し、予防に努めることが求められます。津波の発生から伝播、被害という3つの側面を理解しておく必要があります。主な地震津波と研究の歩みをまとめたものを図(次頁)に示します。最初の研究報告は、明治三陸津波を調査した帝國理科大學地質学生だった伊木常誠と言われています。
その後、地震学者の大森房吉や、物理学者の長岡、寺田らは、湾内の海水振動を物理現象として説明を試みました。地震動の伝播理論を水面に応用し、観測事実を説明しようとしたものです。この流れを受けて、長波理論を用いた解析的な研究が梶浦によって強力に推し進められます。また、チリ地震津波を契機に津波発生を模擬した水理実験が始まりました。最初の水理実験(現在の東大生産技術研究所千葉実験所)は、池の中央に作った楕円ゴム膜を津波発生源に見立てたものでした。膜内の空気制御にはコンプレッサーを利用し、膜の膨張の様子と周辺の水位の変化を極板間の電気抵抗変化として記録し、解析されました。 70年代に入ると状況は大きく変わります。ひとつは津波の原因となる地震発生のメカニズムが断層モデルで記述されるようなったことです。もうひとつは電子計算機が大学や研究所で利用できるようになったことです。海底の断層運動から遡上する津波を再現する数値計算が可能となりました。発生から伝播、遡上までをシミュレーションを通して議論できるようになったのです。
この時期は、地震学、海岸工学、堆積学や古地震研究との連携も進みました。一例として、1700年に米国西海岸のカスケード沿岸で発生した津波大地震です。この津波のシミュレーションの結果、地震の規模がM9であったと推定されました。北海道や東北沿岸で見つかった津波堆積物、さらに古文書の記録が、その大きさを裏付けたのです(Satakeほか、1996)。
我が国では、古文書の記録から684年の白鳳地震まで遡れます。これより古い津波の記録は、津波堆積物に依存します。津波による堆積物の判定は難しく、いくつかの証拠が必要となります。堆積層内の粒度分布、有機物の存在と種類、鉱物組成、有孔虫化石などの実験室内で分析される特徴に加えて、現場における堆積層理面の観察が有力な証拠となります。例えば、ジオスライサーは地層断面を直接観察できるようにするための装置といえます。
日本海中部地震では、津波砕波と段波の存在がはじめて確認されました。この津波で記録された現象を再現するため数値計算の手法も進展しました。一般に、河川を遡上する津波を再現しようとすると、離散化条件から、大変細かい地形格子と極めて短い時間ステップでの計算が必要となります。シミュレーションは容易でない上、大変な手間とコストがかかります。河川の防災対策の現場では、解析のための負担が大きくなります。そこで複雑なシミュレーションを用いなくても推定できる、簡易推定式が提案されるようになりました。
内閣府・農林水産省・国土交通省は、自治体が「津波・高潮に関するハザードマップ」を主体的に整備することを支援する目的でマニュアルを作成しました。それによると、浸水予測は1m以内の誤差で示すことを理想としています。津波高は1mと2mの場合で、被害に顕著な差を生じるからです(木造家屋の場合、部分的破壊が全壊・流失に変わります)。昨年、東日本大震災でもこの点が検証されました。鉄道の場合、線路損傷、橋梁損傷、落石、洗掘を施設被害の対象とみなし、浸水深5m以上のエリアを対象として被害率を算定しています。その根拠は、北海道南西沖地震の被害実態に求めています。東日本大震災の被害との比較から、従来の被害想定の見直しは現在も進められています(http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_tsunami/)。

【文献】首藤伸夫(2002)ながれ,21,474-480.,Satake,K. et.al(1996) Nature,379,246-249.


常時微動測定による構造物の振動増幅特性の把握

実施期間:平成23年11月〜平成24年2月

研究機関様からの依頼により、高架橋(桁式高架橋およびラーメン高架橋)の地震時の振動増幅特性を把握するために、構造物の上部と直下の地盤上で常時微動測定を行いました。測定には弊社製のGEODAS(ジオダス)を使用し、高架橋延長7km間の約90箇所において、1箇所当たり高架橋上2点、直下の地盤上3点の計5点で常時微動の3成分(水平2成分(橋軸方向・直角方向)および上下成分)の同時測定を行いました。1回の測定で約1分の微動波形を100Hzサンプリングで収録し、5回の測定を行いました。
依頼元の研究機関様では、高架橋上部と直下地盤で同時測定した常時微動記録を周波数分析し、両者のスペクトル比(高架橋上部/直下地盤)から高架橋の周波数ごとの振動増幅特性を求め、地震時の高架橋の被害を即時に予測する手法の研究開発に資するとのことです。
弊社の常時微動の測定・分析技術がさらなる地震災害軽減技術に活かされることを期待します。

常時微動測定を実施した高架橋 高架橋上の測定点の設置状況
常時微動測定を実施した高架橋 高架橋上の測定点の設置状況

地震動の距離減衰式に係わる統計解析

実施期間:平成21年12月〜平成22年2月、平成22年11月〜平成23年2月、平成23年11月〜平成24年2月

研究機関様からの依頼により、地震時に観測された地震動指標(最大加速度値、計測震度およびSI値)と地震の規模(マグニチュード)と震源距離との関係式を統計処置により求めました。
地震動の距離減衰式は既に様々な形の式が提案されていますが、依頼元の研究機関様と弊社は共同で、使用目的に応じた新たなパラメータの距離減衰式を考案するとともに、そのパラメータを実測データから適切に求める方法を提案しました。今回考案した距離減衰式のパラメータの算出には、「非線形の逆解析問題」を解く必要がありましたが、そのためのプログラムも作成し、対象とする地震動のデータセットがあればだれでもパラメータを逆解析できるようにしました。これらを含め、今回の成果は依頼元から大変好評を得ております。
なお、今回の成果の一部は平成23年度の土木学会年次講演会で依頼元様と共同で発表しています(「利用目的に応じた地震動指標の距離減衰式を作成するための一般化手法の提案」、第66回土木学会年次学術講演会概要集第T部門)。

建物振動および地盤振動調査

弊社では、建物の耐震診断や地盤調査等を目的とした、建物や地盤の微動測定や加振(衝撃振動)試験を請け負っています。また、鉄道における地震観測網整備のための地盤調査等も請け負っています。以下、最近請け負った調査事例を紹介します。
平成21年度には、鉄道用の新たな地震計設置箇所の事前調査として、約140箇所の地形・地質調査および約60箇所での常時微動測定による地盤特性調査を実施しました。測定した微動のフーリエスペクトルを求め、水平動と上下動のスペクトル比(H/Vスペクトル)を算出し、地盤特性を把握しました。
同じく平成21年度には、依頼元の研究機関様が表層地盤による地震動の増幅特性を地表で測定した常時微動から予測する手法の研究開発に資するため、(独)防災科学技術研究所のK-netおよびKIK-netの観測点付近での地表の微動測定を約90箇所で実施しました。また、K-netおよびKIK-netで観測された地表、地中での地震動記録のフーリエスペクトルを求め、地中から地表への地震動の増幅特性を算出するとともに、それらを同一地点での地表での微動スペクトルの水平動と上下動の比(H/Vスペクトル)等と比較し検討し、表層地盤による地震動の増幅特性を地表の微動データのみで予測する方法の可能性について検討しました。さらに、平成22年度にも、K-netおよびKIK-netの観測点付近での地表の微動測定を約60箇所で実施しました。
平成23年度には、鉄道沿線の既設の地震計設置個所約50箇所で列車振動等の環境振動測定を実施し、新たな地震時運転規制方法を導入した場合の列車運行等への影響予測等を行いました。 この他、物理探査関連の様々な調査・測定もお請けできますので、お気軽にお問い合わせください。

常時微動測定を実施した高架橋 高架橋上の測定点の設置状況
K-net観測点での常時微動測定の様子  建物振動の測定の様子

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